2025 年 5月24日( 土) − 6 月8 日( 日)
正午1 2 時〜 午後7 時
[ 毎週火・水曜日 休廊]
山では時折 説明のつかない 現象が起こる。ブロッケン現象やハロといった自然現象、霧が立ち上ることで山全体が光って見える現象、さらには光源が不明なまま輝く光の存在
ーー原因が明らかなものもあれば、解明されてないものもある。もし山という存在がひとつの大きな意識を持つとしたら、こうした謎めいた光もまた、山の 「意志」の表れなのかもしれない。古来、人々は山に神を見出し、山のあらゆる現象を神の意志と捉えてきた。そしてその恐怖の念から、祭り、祀り、共生の道を探ってきたのだろう。 私はこの「山の意志」に最も近い存在が、山の床をすべるものたち、
ーー すなわち、地を這い、土と交わる微生物や菌類ではないかと考える。山の地下には、植物の根や無数の菌糸が張り巡らされ、膨大なネットワークを形成している。私達の目には見えないこの広大な生態系が、山という存在そのものを支えているのだ。そして時折、菌類や菌従属栄養植物が、地上にその一端を現す事がある。葉緑体を持たないそれらは、透き通るように淡く、薄暗い山の床の中で小さくも際立つ光を放つ。